『超人X』2巻のあらすじ&見どころを徹底考察!2巻に散りばめられた伏線とは?

超人X

『超人X』は、『東京喰種』で一世を風靡した石田スイ先生が手がける話題の最新作です。
第2巻では、超人たちの新たな戦いが描かれると同時に、野球をテーマにしたエピソードが展開され、物語は一気に加速していきます。

本記事では、『超人X』第2巻のあらすじ・見どころをネタバレありで徹底解説していきます!

さらに、ファンの間で注目されている「野球編」と呼ばれるストーリーに込められた隠された伏線深掘り考察もあわせてご紹介します。

読み終わったあとにもう一度2巻を開きたくなる、そんな魅力に満ちた内容をお届けします!

超人X 2巻のあらすじは?

出典元:ピクシブ タイトル「超人X」作者:久遠どく様より引用

第2巻は、蛇の超人・ナリとの戦いの中で、トキオが「完全獣化」とつぶやく場面から始まります。

出典元:ピクシブ タイトル「『借剣』」作者:柄(hey)様より引用

トキオは「完全獣化」し、憧れのアズマのようになることを願いながら、ハゲタカの超人・黒原トキオとして覚醒します。

身体の軽さと野生の力を感じつつ、ナリに攻撃を仕掛けますが、まったく通用しません。
一方、エリィも煙の力で応戦しますが、こちらも効果なし。

トキオは、逃走を試みるも、エリィに「共に戦え」と言われ共闘を決意。
ナリの硬い鱗に苦戦しつつも、トキオはナリに噛みつかれたことを思い出し、「体の中からの攻撃」を狙います。

奮闘するも力が尽きかけたその時、剣の超人・籠村シモンが登場し、ナリに一撃を加えます。

戦闘後、気を失ったトキオが目を覚ましたのは、善の超人を育成する「機関ヤマトモリ」。
そこで星・サンダークと出会い、差し出されたリンゴを口にします。

その甘さに、自分と同じ超人に出会えた喜びを感じ、トキオは涙を流す。

夢ってなんだろう?

引用:石田スイ X投稿より

その後、トキオは超人として、ヤマトモリによる40日間の講習に参加します。
目指すのは、人を守るためだけに力を使える「B級登録証」の取得です。

初日の講習では、星サンダークとの面談が行われます。
「善とは?」「悪とは?」「敵とは?」「利益とは?」

君には「」はあるかい?

超人X2巻第8話より引用

次々と投げかけられる本質的な問いに、トキオは言葉に詰まり、考えをめぐらせます。

講習を終えた帰り道。エリィが静かに問いかけます。「夢、ないの?」

トキオは「夢が思いつかなくて」と答えます。
するとエリィは続けます。

じゃあなんで生きてるの?

超人X2巻第8話より引用

その一言が、トキオの心に静かに、けれど確かに灯る小さな火となります。

崩れた甲辰園の夢

一方、物語はもう一人の超人・汐崎テヅヤに焦点が当たります。

かつて汐崎は、野球の名門・ツル高校でエースとして活躍していました。
しかし、甲辰園(この世界における甲子園)で突如として超人化し、暴走。
試合は中止となり、以降、競技の世界から姿を消すことになります。

※汐崎は沈下の超人となり、投げたものがあたった対象を沈下させる能力を手にします。

現在の汐崎は、「ヤマトモリ」で定期的な面談を受けています。
その日も、担当となったのはサンダークの弟子・佐藤一郎。
汐崎は表面上こそ穏やかに応じますが、内心では「見下されている」という思いを抱え、フラストレーションを募らせていました。

一方、トキオとエリィの関係にも、静かな変化が訪れます。
エリィは実家に電話をかけ、祖父の無事を確認して安堵。
その様子を見たトキオは、エリィの「お金持ちになりたい」という夢が、祖父のためなのではないかと察します。

しかし、エリィは笑ってこう語ります。

オラのまわりが幸せなら、オラも幸せだ

超人X2巻第9話より引用

そしてエリィは、トキオに語りかけます。
「夢がなくてもいい。なにもなくても、堂々としていればいい」と。

トキオもまた、自分の夢や利益が何なのかはまだ分かっていません。
それでも、「これから探していく」と、前向きな気持ちを言葉にします。

そんな矢先、ふたりは偶然、汐崎が自販機を破壊する場面に出くわします。
日常の中で抱えていた苛立ち。押し込めていた感情と、超人としての力の暴走。

汐崎の暴発が、物語の転機となっていきます。

追跡のミナミ区

超人の能力を使う汐崎の姿を目撃したトキオとエリィは、ファミレスで汐崎を問いただします。

エリィは講習で「登録証A級がなければ能力の使用は制限される」と学んでいたことから、疑問をぶつけます。
しかし汐崎は、「調査の一環で自販機を壊した」「登録証A級を取得すれば月30万円稼げる」といった嘘を並べ、その場をごまかします。

やがてエリィは、「私もA級を取ろうかな」と興味を示しますが、このときの汐崎の発言は、後にヤマトモリでの会話を通じて百萬マイコ(モモマ)に知られることとなります。

汐崎の言葉に疑念を抱いたトキオとエリィは、真偽を確かめるため、ヤマト県のミナミ区へ足を運びます。

ミナミ区に到着した2人は、かつて煙の超人・ヒュームとともに現れた羊頭の不良グループと再会します。

不良たちは、命を救ってくれたエリィのことを覚えており、エリィを「姉御」と呼び、敬意を示します。
その流れで、トキオとエリィは不良のバイクに乗せられ、汐崎の自宅まで案内されることに。

市営住宅に到着しますが、インターホンに反応はなし。
人の気配を感じ取ったエリィは、煙の能力で内部を炙り出すという強引な作戦に出ます。

作戦は成功。中から現れたのは汐崎の兄妹でした。
借金取りと勘違いして、出てこなかったようです。

事情を聞いたトキオとエリィは、汐崎が向かったという廃墟の倉庫へと急行します。

運命のマウンド対決

出典元:ピクシブ タイトル「劍的超人!」作者:粉碎机様より引用

一方その頃、汐崎は仲間たちと倉庫に集まり、エリアを広げて稼ごうという提案を受けていました。

しかし汐崎は、それを静かに否定します。

「すこし大人しくしよーぜ」

超人X2巻第11話より引用

その態度が気に食わなかった仲間たちは、突如として超人化し、汐崎に襲いかかります。
相手は4人。汐崎は成す術なく暴行を受けます。

その頃、汐崎の兄妹から居場所を聞いたトキオとエリィは、倉庫へ向かいます。
中からは地鳴りのような異音。ふたりは警戒しながら中へ。

そこにいたのは、沈下の超人として変貌した汐崎。
仲間たちの裏切りと暴力により、自我を失いカオス化した沈下の超人へと変貌していました。

トキオとエリィは、理性を取り戻すため戦闘に突入します。
ほどなくして、モモマと籠村が現場に到着。ふたりは暴走する汐崎に応戦します。

汐崎はこのままでは、完全に自我を失う「第二のカオス化」に進行しかねない状態に。

籠村は汐崎の動きを封じ、モモマが致命傷を与えますが、それがさらなる暴走の引き金に。

汐崎の強化された重力操作の暴走で、籠村の渾身の一撃すら届きません。

その様子を見たトキオは、力を解放して戦うことを決意。
打者の構えで、ピッチャーと化した汐崎に挑みます。

シンカーでこいっ!!

超人X2巻第14話より引用

汐崎の能力は、「投げたものが当たった対象を沈下させる」というもの。

トキオは渾身の力でボールを打ち返します。
打球は思いがけず高く舞い上がり、フライボールに。
その瞬間、沈下能力が発動し、トキオの体も地面へと沈んでいきます。

そして、そのフライを汐崎自身がキャッチ
自らにも沈下能力が発動し、地面に沈みながら、暴走は静かに終息します。

講習修了と新たな始まり

汐崎の一件が終わり、トキオとエリィは40日間の講習を無事に修了。
星・サンダークからの講習祝いとして、ふたりは天ぷら丼をご馳走になります。

その後、エリィは故郷であるガガ県へ帰還。
トキオも再び学校に戻り、以前と変わらぬ日常生活へと戻っていきます。

しかしトキオの心には、確かな変化がありました。

かつて星・サンダークに問われた「己の利益(=夢)」という言葉の意味を、汐崎を救った経験を通じて、ようやく見つけ出せた。

そんなある日、トキオの通う「ツル高」に新たな転入生が現れます
登場したその人物に、トキオは思わず驚愕!

物語は、次なる波乱の幕開けを予感させながら、新章へと進んでいきます。

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超人X2巻の考察3選!ネタバレ解説あり

引用:石田スイ X投稿より

『超人X』第9話から第15話までは、すべての話のタイトルに「野球用語」が使われています。

作者・石田スイ先生も、このパートを「野球編」としてXに投稿していました。

この記事では、第2巻に込められた「野球」をテーマにした3つの重要なポイントを詳しく解説します。

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汐崎テヅヤは実在した選手?

引用:石田スイ X投稿より

漫画『超人X』第2巻で登場する重要キャラクターの一人、汐崎テヅヤ。
汐崎は元高校球児であり、「シンカー」を得意とする投手として描かれています。

この汐崎テヅヤというキャラクター、実は実在のプロ野球選手をモデルにしているのではないかと注目されています。

汐崎テヅヤ=塩崎哲也

モデルと考えられるのは、西武ライオンズで活躍した名投手、塩崎哲也(しおざき てつや)選手です。

塩崎選手は「魔球」と呼ばれた独特のシンカーを武器にし、チームの黄金期を支えた名投手として知られています。

汐崎テヅヤもシンカーを得意としており、その投球スタイルは塩崎選手を彷彿とさせます。

さらに、汐崎が沈下の超人として変貌する際に背番号が「16」に変わる描写がありますが、これは塩崎選手が現役時代に背負っていた番号と一致。

引用:超人X 2巻11話より

これは、作者である石田スイ先生が、意図的に取り入れた要素だと考えられます。

「シンカー」が持つ二重の意味

シンカーとは、野球における「落ちる球」の一種で、打者のバットの先端をすり抜けて落ちる軌道を描きます。

しかし『超人X』の物語では、シンカーにはさらに深い象徴的意味が込められていると考えられます。

それは、「落ちていく精神」や「運命の転落」というメタファーです。

汐崎は超人化によって能力を暴走させ、最終的には心が壊れて暴走状態(カオス化)に陥ります。
汐崎は、まさに「落ちる者」の悲劇を描いているのです。

汐崎の物語が描くテーマとは?

汐崎の変貌と葛藤は、才能ある若者が環境や運命の苛烈さに翻弄され、堕ちていく様を象徴しています。

実際のプロ野球の名投手である塩崎哲也をモデルにすることで、リアルな背景と深みを持たせています。

このような設定は、『超人X』における野球編のテーマとも重なり、才能・努力・挫折・再生といった人間ドラマを描くための重要なモチーフとなっています。

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汐崎テヅヤのなりたかった夢?

引用:超人X 2巻12話より

超人化した汐崎が着用している帽子には、「大英HAWKS」というロゴがはっきりと描かれています。

この「大英HAWKS」は次のように読むことができます。

  • 「大英」はカタカナで「ダイエー」
  • 「HAWKS」はカタカナで「ホークス」

つまり、「ダイエーホークス」と読むことができます。

この「ダイエーホークス」は、かつて実在したプロ野球チームであり、現在の福岡ソフトバンクホークスの前身です。

つまり、この帽子はただの装飾ではなく、実在した球団名のオマージュである可能性が高いです。

「なりたかった姿に変身する」超人化の設定

第1巻でアヅマが語った重要なセリフがあります。

超人の姿は「その人がなりたい姿」になるんじゃないかな

超人X1巻第3話より引用

この設定に基づけば、汐崎が超人化したときに現れた「大英HAWKS」のロゴは、かつてプロ野球選手を夢見ていた汐崎のなりたかった姿そのものだったと考えられます。

汐崎は、甲辰園(この世界の甲子園)を目指していた実力派の球児でしたが、試合中に超人化してしまい、その道を絶たれてしまいます。
しかし、心の奥底では「野球選手になりたかった」という夢を捨てきれずにいました。

その叶わなかった夢が、超人化によって形を持って現れたと考えられます。

帽子に込められた、悔しさ・未練

汐崎の帽子に刻まれた「大英HAWKS」の5文字は、汐崎の心に刻まれた未練そのもの。

失われた夢、悔しさ、後悔、そしてかつての憧れ。
それらが、暴走する超人としての姿に静かに宿っていたとしたら、この演出は非常に詩的で、物語に深みを与える象徴的なモチーフだと言えます。

汐崎の帽子には「¥」のマークも描かれています。

引用:超人X 2巻11話より

汐崎は、両親を亡くし、ひとりで弟と妹を育てている苦しい生活を送っています。
借金取りに追われ、超人になったあとは、ついには銀行強盗までしてしまいます。

汐崎が超人になるきっかけとなった甲辰園のシーンでは、「金に苦しむ人生は嫌だ」と、自分の本音を口にしているのでした。

こうした背景から考えると、帽子に描かれた「¥」のマークは、お金への強い思いや、経済的に追い詰められた状況を象徴していると読み取れます。

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トキオはジャイアンズの4番?

引用:超人X 2巻15話より

『超人X』第2巻・第15話「FLY」の冒頭。

トキオが目覚めるシーンで、次の印象的なセリフが登場します。

  • トキオの寝起き:「俺がジャイアンズの4番ですかー!」「うそー!」
  • エリィの寝言:「ジャイアンだめだよ。そんなとこで卵うんじゃ…」

一見すると、ただのギャグや寝言のようにも思えますが、石田スイ作品において「夢」は重要なメタファーであり、このやり取りにも何らかの意味が込められている可能性は高いです。

「ジャイアンズの4番」とは誰か?

「ジャイアンズの4番」と聞いて思い浮かぶのは、戦前〜戦後の読売ジャイアンツで活躍した黒沢俊夫選手です。

  • ポジション:外野手
  • 背番号:4(のち永久欠番)
  • 特徴:戦後の巨人再建を支える主力選手で、1947年に腸チフスにより28歳で急逝。
  • 彼の死を悼んだ球団は、背番号4を永久欠番とした。

「ジャイアンズの4番」=命を燃やして戦う者の象徴

この文脈で考えると、「俺がジャイアンズの4番!?」というトキオの寝言には、次のような暗示が含まれている可能性があります。

トキオは仲間のために命を賭して戦う「主力」となる未来
  • ジャイアンツの4番=チームの顔、勝負を決める男。
  • トキオもまた、ヤマトモリでの仲間との絆や戦いを通して、中心人物として覚醒していく可能性が高い。
未来で「命を落とす」運命の予兆
  • 黒沢俊夫は戦後の希望を背負いながらも、28歳という若さで亡くなった悲劇の名選手。
  • 石田スイ作品では、「悲劇的な運命を背負った主人公」という構造がしばしば描かれます。
  • この点で、トキオが「救いの象徴」でありながら、命を落とす未来の伏線とも読めるのです。

エリィの寝言と卵のメタファー

引用:超人X 2巻15話より

エリィの寝言「だめだよジャイアン。そんなとこで卵産んじゃ…」の発言も、ギャグを装った伏線と考えられます。

卵と腸チフスの関係
  • 腸チフスの主な感染源の一つがサルモネラ菌に汚染された卵
  • 黒沢俊夫の死因は腸チフス

このことから、エリィの寝言はただのギャグではなく、トキオの死因が、戦闘によるものではなく、見えない病や体の変質による不可避な死である可能性を示唆していると読み取ることができます。

第1巻冒頭の「病に似ている」という表現

『超人X』第1巻の冒頭では、トキオが能力に目覚める場面で次のようなナレーションが入ります。

「それは病に似ていた」

この一文もまた、超人化という現象が「感染」「変質」「病」に近いものであり、
やがてそれが死に至るリスクを伴う運命であるという伏線かもしれません。

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まとめ|超人Xは読むべき?2巻の評価と感想

出典元:ピクシブ タイトル「超人X_黒原トキオ」作者:UMI2様より引用

この記事では下記について解説しました。

第2巻の中心となるのは、汐崎テヅヤという少年の悲しい物語です。
かつて野球で注目を集めた汐崎は、夢を失い、周囲から孤立し、ついには超人の力を暴走させてしまいます。

この汐崎の姿は、「夢を叶えられなかった苦しみ」の象徴として描かれています。
一方で、主人公のトキオは「これから夢を見つけようとする存在」として対照的に描かれ、その対比が物語に深みを与えています。

随所に散りばめられた野球のモチーフも重要なポイントです。
試合形式のバトルや帽子のロゴなどに、夢・努力・挫折といったテーマが込められています。

『超人X』第2巻は、「夢を持つこと」「夢を失うこと」を通して、若者の揺れる心と成長を丁寧に描いた、読み応えのある一冊です。

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